- January 25, 2008 12:57 AM
- 「コドモ」力・「オトナ」力
企業研修などを行っていてとっても思うのは、スキルやツールを渡すだけ、使い方を教えるだけではうまくいかない。
この点についていろいろと視点があると思うのですが、そのスキルやツールを「これを使えばこんなことができるようになるんだ!こんなに使えるんだ!と気づくこと」が大切です。
でも気づく人と気づかない人の差が本当によく出る。研修で20人に対して同じ事を言っても、メモを取って後で活用する人と活用しない人。成長のきっかけをつかむ人、成長のキッカケに気づかない人。
そして、気づく人が多い企業は伸びていることが多い。気づかない人が多い企業は伸びていないことが多い。
松下幸之助の経営哲学の一つ「ダム式経営」について、ある講演会で話されたときのことです。質疑応答の時間になってある人が、「ダム式経営の大切さはよう分かりました。けど、ダム式経営をするための、ダムにためる余裕がないから困っているんですよ。だからわたしらは、どうすれば余裕がつくれるのかが知りたいんですわ」と発言。周りの聴衆も「そうや、そうや」と声を上げました。これに対し幸之助は、「どうしたらできるかは、わしにはよう分かりまへんわ。ただ、ダム式経営をしたいと強く思うことでしょうなあ…」と答えたのです。「思うことだけじゃ答えになっとらへん」と会場には失笑の渦がわいたといいます。
しかしその時、一人だけ笑わない人物がいたのです。京セラを創業して間もないころの稲盛和夫氏で、まだ経営の進め方に迷い悩んでいたころでした。
後日、某雑誌での幸之助との対談で、稲盛氏はこの日の出来事を次のように述べています。
わたしは「強く思うことでしょうなあ…」という言葉に、雷に打たれたような衝撃が走りました。みんな思ったぐらいで、とばかにしてるけど、思わん人はいつまでたってもできはせん。思う人のみができるのだ。すべての始まりは「思う」ことであり、実現させてやるという「熱意」が何よりも重要なんだ。これこそが松下さんの神髄なんだと思いました。
稲盛氏のこのときの「気付き」が、後に京セラを大きく発展させていく原動力になったのです。
同じ話を聞いて、気付きを得る人、気付きを得ない人がいるんです。
これは、資質だ、と言えば簡単な話だけど、それだけではない。
小さな頃からの習慣がとても大きいと思っています。
一つ例を挙げれば、算数の公式はツールですが、その公式の大切さに気づくかどうかは、はじめに考えるプロセスを踏んでいるかどうかが大きいと思います。
いきなり、「三角形の面積は底辺掛ける高さ割る2だよ」と教えられて、その計算ばかりをやっている子供。
三角形の面積というものを自分で苦労して考えてなんとなくでも間違えていても、「考えるプロセス」を体験している子供。
前者は公式を当てはめることはします。後者は、公式をさまざまな場面で活用することを知ります。後者は言わば円の面積の理論や微分積分まで楽しく学ぶことができるでしょう。
前者はツールを与えられなければできないし、難しい問題が出てきたときに応用が利かない。未知のものに対して、まず当てはまって解ける方法が提供されることを待つ人間になります。
これは、大人になって答えがない課題が多いときには、まったく持って使えません。
気付きを持てる人間になれるかは、小さな頃の思考習慣の積み重ねです。
